A7075(超々ジュラルミン)の特徴|アルミ合金
A7075は、アルミニウム合金の中でも特に高い強度を持つ素材です。「JIS H 4040」で規定されている超々ジュラルミンに該当します。T6処理(溶体化処理後、人工時効硬化処理)を行い強度を上げます。
加工硬化により鋼材並みの強度があり、宇宙機器や航空機の構造材に使用されます。ブリネル硬度で見ると、A7075の硬度は150HBで、ステンレス鋼のSUS304は187HBです。さらにA7075は軽いため、さまざまな分野で使われています。
また、A7075は強度を高めるため成分にZn(亜鉛)とMg(マグネシウム)にCu(銅)を添加したAl-Zn-Mg-Cu型の合金です。熱処理によりアルミニウム合金の中で最も高い強度を得ることができます。
Si | Fe | Cu | Mn | Mg | Cr | Zn | Ti | その他 | Al |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0.40以下 | 0.50以下 | 1.2~2.0 | 0.30以下 | 2.1~2.9 | 0.18~0.28 | 5.1~6.1 | 0.20以下 | 0.05以下 | 残部 |
A7075の特徴
強度が高い
A7075はアルミニウム合金の中で最も強度に優れた素材です。ブリネル硬さは150HB、引張強さは570(N/mm^2)、耐力は505(N/mm^2)です。
SUS304はそれぞれ187HB、520(N/mm^2)、205(N/mm^2)と、ステンレス鋼と比較しても遜色ない強度です。
切削性が良好
A7075の被切削指数は120で、比較的切削加工のしやすい素材です。しかし、溶接性が乏しく溶接加工には不向きです。
耐食性が他のアルミニウム合金より低い
A7075はCu(銅)を添加しているため、表面の粒界腐食が起きやすくなっています。銅は電気化学的には貴な金属です。そのため、アルミとのガルバニック作用によって粒界部分が腐食が起きることがあります。
この作用により、他のアルミニウム合金よりも耐食性が劣ります。しかし、アルマイト処理やアロジン処理により、この弱点をカバーすることができます。
物理的性質
融点 (℃) | 密度 (g/cm^3) | ヤング率 (GPa) | 剛性率 (GPa) | ポアソン比 | 線膨張率 (ppm/K) | 定圧比熱 (J/kg•K) | 熱伝導率 (W/m•K) |
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660.4 | 2.8 | 70.7 | 26 | 0.33 | 23.6 | 962 | 130 |
機械特性
ブリネル硬さ (HB) | 引張強さ (N/mm^2) | 耐力 (N/mm^2) | せん断強さ (N/mm^2) | 疲れ強さ (N/mm^2) | 伸び (%)板 | 伸び (%)棒 |
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150 | 570 | 505 | 330 | 160 | 11 | 9 |
A7075のAMS規格素材
使用する際の注意点
A7075は熱処理のT6処理を行うことで強度を高めることができますが、実際の使用期間は過時効となり、長期間の使用により強度が少しずつ落ちていきます。
Point
A7075はアルミニウム合金の中で特に強度に優れた素材です。鉄やステンレス鋼と同等の強度を持ちながらアルミの軽さも併せ持ちます。部品の強度を維持しながら軽量化を図りたい状況に適した素材です。
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