キューブサット(Cubesat)とは|製作の費用感と注意点
キューブサットとは
キューブサット(Cubesat)とは、10cm×10cm×10cmの立方体を1Uとして規格化された小型衛星のことです。一般的には1U(10×10×10cm)から3U(10×10×30cm)程度のサイズが開発されています。
大型衛星と比較すると開発期間を短縮できることから、プロジェクト立案から運用までのプロセスを幅広く学ぶ場として教育機関などでも開発が進められています。
キューブサットの開発費用
キューブサットのメリットの一つに低コストであることが挙げられます。例えば、小惑星イトカワからサンプルを持ち帰ったことで有名な日本の人工衛星「はやぶさ」の開発費は127億円です。アメリカのジェイムスウェッブ宇宙望遠鏡は97億ドルにも達すると言われています。
ここでは費用が大きくなる要因を2つ紹介します。
- 衛星が大型になることで地上での試験費用が高額になる
- 電子機器などを宇宙用部品で構成しなければならない
一方、キューブサットはそのサイズからもわかる通り小型・軽量です。そのため、地上試験で必要になる試験費用が安く済みます。例えば振動試験であれば、比較的小型の振動試験機で済みます。また、真空での試験でも小型の真空チャンバーがあれば対応できます。
必要に応じて民生品の部品を用いることでコストを大幅に下げることが可能です。これにより、機能や構成にもよりますが開発費全体を数百万円まで抑えられるケースもあります。
キューブサットの打ち上げ手段
キューブサットを宇宙空間に放出する方法には、下記のようなものがあります。
ロケットから放出
通常、ロケットの打ち上げ能力にはある程度のマージンが設定されています。その範囲内でキューブサットのような小型衛星を搭載することが可能です。このような打ち上げを相乗りとも言います。
宇宙ステーションから放出
CTB(Cargo Transfer Bag)と呼ばれる物資輸送用バッグにキューブサットを入れてロケットで打ち上げた後、日本の宇宙実験棟「きぼう」に搭載された小型衛星放出機構(J-SSOD)から放出する方式です。
衛星から放出
革新的衛星技術実証プログラムの小型実証衛星のように、主衛星からキューブサットを放出する機会があります。
注意点
民生品の部品を利用する際には放射線や振動環境によって不具合が発生しないか地上で十分な検証が必要となります。また、小型ゆえに機能が絞られ、キューブサット自身が軌道を変える機能を持たないことが多く、放出されるロケットや衛星による軌道の制約があります。
参考
JAXA「小型衛星放出機構(J-SSOD)」
Point
キューブサットは超小型の衛星です。人工衛星の開発には通常何十億円もの費用がかかりますが、キューブサットは地上試験の費用が安く、部品の一部を民生品への切り替えすることにより数百万の費用感で製作することができます。
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