ガルバニック腐食とは|異種金属接触腐食
ガルバニック腐食とは、異なる金属が接触した状態で、水などの電気が流れやすい環境や腐食環境下におくと、イオン化傾向が大きい方の金属の腐食速度が増大する現象です。異種金属接触腐食と呼ばれることもあります。
ガルバニック腐食は金属以外の導体が、電位のより低い金属(卑金属)と接触した場合でも発生します。
また、腐食は環境の電気伝導率、金属間の電気抵抗、自然電位の差によって予測できます。腐食傾向は対となる金属の種類、環境、距離やイオン濃度に大きく影響を受けます。
イオン化傾向と腐食の関係
イオン化傾向とは、金属が溶液中で陽イオンになろうとする性質です。これが大きいほど対となる金属に電子を放出しやすく、陽イオンになりやすくなります。
陽イオンになることで、空気中の酸素と結びついて酸化物を生成します。そのため、この傾向が強いほど腐食しやすく、錆びやすい性質を持ちます。
ガルバニック腐食の事例と対策
炭素鋼とステンレス鋼の事例
炭素鋼製の配管の接合部分に、ステンレス鋼製のボルト・ナットを使用した例です。ガルバニック作用により卑金属である配管側の腐食が進行します。
このような場合接触している貴金属も、もらい錆びなどによる状態変化も懸念されます。そのため異種金属を接合する場合には組み合わせへの注意が必要となります。
対策:メッキや塗装などの防食処理。表面積や自然電位差の調整。絶縁材の異種金属間への配置。
アルミニウム合金とCFRPの事例
航空宇宙分野では、構造材料としてアルミニウム合金やCFRPが用いられます。このCFRPは炭素繊維を含むため、ガルバニック腐食の発生が懸念されます。実際に食塩水中にアルミニウムとCFRPを接触した状態でおくと、腐食量が増大します。
対策:アルマイト処理適応性の高い番手には、アルマイト処理を施すことで、腐食を抑制することが可能です。1000系や3000系のように添加金属の少ない番手は、アルマイト処理による耐食性向上に適しています。
特殊な事例
アルミニウムのガルバニック腐食の研究は数多くあります。その中には特殊な事例も報告されています。溶液中の銅やニッケルなどの重金属のイオンがアルミニウムに析出するとガルバニック腐食が進行します。
アルミニウムのガルバニック腐食は電位によるものだけでなく、対となる金属から溶出するイオンによっても促されることがあります。
これらの腐食の組み合わせはJIS規格に記載されています。しかし、近年では様々な複合材料が開発されています。そのため、想定されている組み合わせよりも状況は大きく変化しています。今後、腐食の起こる組み合わせの研究とデータベース化が課題です。
Point
ガルバニック腐食とは、異なる導電性の物質が接触した状態で、イオン化傾向が大きい物質の腐食が進行する現象です。腐食には物質の組み合わせ、距離や環境の電気伝導率などの複数の要因が関係します。
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