金属加工は部品を製作するために、金属に対して行う加工全般を意味します。例えば切削加工、板金加工、3D造形、熱処理など、金属加工には多くの種類があります。
そのため、形状や納期、ロットに応じて最適な加工方法を選ぶ必要があります。

部品加工に金属素材を使用するメリットは、主に強度にあります。元々、金属は他の素材よりも強度面に優れています。さらに、鋼材のように強度に特化した素材が開発されており、機械や装置の部品として使う上で製品の耐久性を高めることができます。

金属加工は「形状を変える金属加工」と「性質を変える金属加工」に大別されます。

前者は機械加工や塑性加工などが分類されます。素材を削ったり溶かして積み上げることで、図面通りの形状を作り上げます。後者は熱処理や表面処理のように、素材の表面または全体の性質を熱や化学的な処理により変える加工です。

形状を変える金属加工

形状を変える金属加工は、「機械加工」「塑性加工」「鋳造」「3D造形」の4つです。

機械加工

機械加工には切削加工と研削加工、特殊加工の3つの加工方法があります。

切削加工は工作機械を使って切削工具により素材をデータ通りの形状に削り出す加工です。加工できる素材が多く、精度とコストのバランスにも優れるため、特注部品の加工や試作に使われることの多い加工方法です。

研削加工は砥石を使って不要部分を除去する加工です。切削加工よりも精度を出すことができます。加工には時間がかかります。そのため、切削加工でまず形を作り、精度の必要な部分を研削加工で追加工することが多いです。

特殊加工は放電加工やレーザー加工のような切削加工でも研削加工でもない機械加工です。ワークへの負担が少なく、精度の高い加工を行うことができます。切削加工では難しい素材や形状も、これらの加工方法により実現できる場合もあります。

塑性加工

塑性加工には板金加工や鍛造、転造の3つの加工方法があります。

板金加工は金属の板を切断・抜き・曲げ・溶接などの方法で加工します。板状のワークを金型などに大きな力で押し当て加工します。バネ・カバー・ガスケットなど、さまざまな金属部品を加工することができ、金属加工の中でも頻度の高い加工方法です。

鍛造はワークに金型やハンマーを使って大きな圧力を加え、強度を高めながら目的の形状に成形する加工方法です。強度が必要な部品の加工に用いられ、金型を使うことで大量生産にも対応できます。

転造はワークに大きな圧力を加え、部分的に盛り上げて成形する加工方法です。鍛造と同様に加工によってワークの強度が高くなる特徴があります。

鋳造

溶かした金属を型に流し込んで成形する加工方法です。複雑な形状でも比較的容易に加工できます。大量生産向けの加工方法です。鍛造と異なり、完成品に内部応力が残る場合があります。

3D造形

3D造形は素材を積層することで、形状を作り出す加工方法です。形状の自由度が高く、完成までの期間も比較的短い特徴があります。また、除去加工とは異なり、必要分の素材を形状として積み上げていくため、素材の無駄を最小限に抑えられます。

性質を変える金属加工

性質を変える金属加工は、主に「熱処理」と「表面処理」の2つです。

熱処理

金属素材に加熱と冷却の処理をして、強度や耐衝撃性、耐食性などの性質を向上させる加工方法です。素材内部の組織を変化させます。焼入れ、焼戻し、焼きなまし、焼ならしなどの処理方法があり、目的によって使い分けられます。

表面処理

金属素材の表面にめっきや、アルマイト処理などの化成処理を行い、特性を付与します。めっきは表面に他の金属の薄膜を形成します。一方で、化成処理は表面を化学的に改質して特性を追加します。耐食性の向上などを主な目的として行われます。