マグネシウム合金
名称
マグネシウム合金
特徴
マグネシウム合金には「非常に軽い」「強度が高い」「比熱が小さい」「寸法安定性に優れる」といったさまざまな特徴があります。
軽さを求める場合に、入手性や加工性、コストの観点からアルミニウムを選択することが主流でしたが、各パーツを少しでも軽くしたいという側面を持つ航空・宇宙業界では活用が進んでいます。
マグネシウム合金には、加える添加物によっていくつか種類があります。
用途によって使い分けが可能です。
ただ、切削粉は引火しやすいという特徴もあるため、加工時には注意が必要です。
長所
比重
実用金属で最も軽く(AZで比重1.78とアルミの2/3)
更に比強度も最大な為、軽くて強い優秀な金属です。
振動吸収性
マグネシウム合金は実用金属の中で最大の振動吸収性を持っており
振動を嫌うハードディスクやCD・MDなどの製品には最適な材料です。
また、自動車のホイールやステアリングなどにも使われています。
安定した電磁波シールド性
マグネシウム合金は30~200MHzの域で、90~110dBの安定したシールド効果を発揮しノートパソコンなどにも使われています。
優れた切削性
切削抵抗が小さく、加工しやすい金属です。
切削動力指数
マグネシウム合金:1.0
アルミニウム合金:1.8
銅:6.3
高いリサイクル性
マグネシウム合金の新塊製造時はわずか4%のエネルギーでリサイクルすることが可能です。
注意点
発火性
マグネシウムは発火しやすい特徴があり、特に粉塵状態だと簡単に燃えてしまいます。
腐食性
マグネシウムはイオン化傾向が高く腐食しやすいです。
そのため、用途によってはメッキ等の表面処理が必要となります。
強度
鉄やアルミなどと比べると柔らかいため、簡単な衝撃で打痕等ができるので扱いに注意が必要です。
種類
1. AZ系合金
代表例: AZ31、AZ61、AZ91
特徴:アルミニウム (Al) と亜鉛 (Zn) を主な添加元素とする合金。
優れた機械的強度と耐食性を持つ。
切削性が良好で、加工しやすい。
AZ91は特に高い強度を持ち、自動車部品や航空機部品に多用される。
一番よく使われるタイプでバランスが良いです。強度も耐食性もそこそこあり、加工もしやすいので多様な製品に使われています。
2. AM系合金
代表例: AM50、AM60
特徴:アルミニウム (Al) とマンガン (Mn) を添加。
優れた延性と衝撃特性を持つため、自動車の安全部品(ダッシュボードフレームなど)に使用されています。
耐食性が高く、切削時の寸法安定性も良好です。
よく伸びて衝撃にも強いのが特徴で、車のダッシュボードなど、安全に関わる部品に使われています。
3. WE系合金
代表例: WE43
特徴:レアアース(希土類元素)を含む合金。
高温環境下での強度やクリープ耐性に優れ、航空宇宙や医療機器に使用されることも多いです。
加工性はやや劣りますが、高性能部品に適しています。
高温でも強く、変形しにくいのが特徴です。ロケットや人工衛星など、厳しい環境で使われる部品に使われます。
4. ZK系合金
代表例: ZK60
特徴:亜鉛 (Zn) とジルコニウム (Zr) を添加。
高い強度と剛性を持ち、主に航空宇宙産業やスポーツ用品で使用される。
切削性は良好ですが、加工時には適切な工具や潤滑が必要です。
その特性を活かして、飛行機やスポーツ用品など、強度が求められる部品に使われます。
5. Elektron合金
代表例: Elektron21
特徴:レアアースとジルコニウムを含む高性能合金。
優れた耐食性と高温強度。
特に軽量化と高い機械的特性が要求される航空宇宙産業で利用されます。
高性能な合金で、とても軽く、高温でも強く、耐食性も高いです。ロケットや人工衛星など、最先端の製品に使われます。